前回記事は以下から。
現状打破のカギ、コンフォートゾーンとは?
コンフォートゾーンという概念があります、コンフォートとは快適という意味なので直訳すると快適な空間ですね。
快適、言い換えると居心地がいいということですが、人はそれぞれ自分なりの居心地のいい空間を持っています。
一番身近なコンフォートゾーンは自宅であり自分の部屋ですね、ここにいるとき人は一番リラックスすることができます。
そして、そこから離れると緊張感を持ち、どんどんと離れていくにしたがってその緊張感も増していきます。
例えば、家から一歩外へ出ると部屋の中にいた時と同じような無警戒な振る舞いはしないですよね。
でも、すぐにコンフォートゾーンである家に戻ることができるのでまだ安心感はあるでしょう。
そこからグーンと離れて一度も行ったことがない場所へ行ったとしたら、きっと不安でいっぱいになってすぐにでも家に戻りたくなるはずです。
そんなふうに、人はコンフォートゾーンを外れると無意識に元に戻ろうとする習性があります。
このコンフォートゾーンというのは、物理空間だけを意味するものではなく情報的な状態も含みます。
と言ってもすぐに理解できないかも知れませんね、つまりは自分らしいかどうかってことです。
あなたが自分らしいと思う状態があなたにとってのコンフォートゾーンで、そこから離れるにしたがって違和感を覚えるようになります。
例えば、あなたが人見知りであるとしたら、人見知りらしくない振る舞いをするとコンフォートゾーンから外れてしまうんですね。
なので、急いで元の状態に戻ろうとして人見知りらしく振舞おうとします。
それは、そのほうがあなたにとって快適だからです。
無意識は、「あれ?私は人見知りなのにこんなに人に話しかけちゃってる!いけない、いつもの私らしく無口になならないと!」って思っちゃうんですね。
人には無意識に自分のコンフォートゾーンに戻ろう、留まろうという習性があります。
これが人がなかなか変われない「現状維持システム」のカラクリです、変わろうとすると無意識が反発して元の状態に引き戻そう、留めようとするんですね。
そして、人はほとんどのことを無意識で行っていますから、いくら意識で変えようと頑張ってみてもまず勝てないのです。
変わるためには現状維持システムを逆利用する
あなたがこれからトップアイドルになっていくためには、現状のままではいけない、もっと成長しなければならないことは理解していることでしょう。
でも、人には強力な現状維持システムが備わっていますよね?
なので、あなたはそれを突破するためには強い意志が必要だと思っているかも知れません。
実際、「私は意志が弱い」って悩んでいる人はたくさんいます、挫折してしまうのは意志が弱いせいだと思い込んでいるんですね。
結論から言ってしまうと、夢を叶えるために強い意志は必要ありません。
必要なのは「無意識のトリセツ」です、自分の無意識をどのようにコントロールすればよいのかが分かっていさえすればいい。
前項で、「人には無意識に自分のコンフォートゾーンに戻ろう、留まろうという習性がある」と言いましたね。
この習性を逆利用すると、簡単に変わることができてしまうんです。
どういうことかと言うと、コンフォートゾーンを今現在のものから未来のあるべき姿に変えるんですね。
あなたの夢が、地元に愛され世界中からファンが集まってくるアイドルになることだとしましょう。
その場合、その状態をコンフォートゾーンにしてしまうのです。
そんなふうに未来のあるべき姿がコンフォートゾーンになると、無意識は現状の自分に対して強烈な違和感を感じて、いてもたってもいられなくなります。
なので、現状維持システムが発動して無意識があっという間に未来へと連れていってくれるというわけです。
実は、コンフォートゾーンというのも想像の産物でしかないのです、自分自身が生み出した幻なんですね。
過去に何度か紹介している石井裕之さんの比較的初期の著書で、「コミュニケーションのための催眠誘導」という本があります。
その中に、コンフォートゾーンが想像の産物であることを示す記述があるのでちょっと引用してみましょう。
以前、ある男性が奥さんを連れて私のところに見えました。奥さんは「私は不眠症なんです」と言う。「『不眠症』なんて名前を誰につけてもらったのですか?」と訊くと、「別に誰につけてもらったのでもないが、夜眠れないから不眠症なのだ」と言う。それなら、「夜眠れない」と言えばいいのに、どうしても「不眠症」などというゴージャスなレッテルを貼りたがるのですね。
「コミュニケーションのための催眠誘導」光文社知恵の森文庫刊 P.194より
これ、「人見知り」なんて人にも当てはまりますよね。
ただ「人とうまく話せない」と言えばいいものを、わざわざ人見知りというレッテルを貼ってしまってるというわけです。
話を聞いていると、ご主人の浮気を疑って眠れない夜が以前に何日かあって、そのとき以来、自分を不眠症だと決めつけてしまったらしい。まあ、浮気の疑いはとっくに晴れたのですが、「自分は不眠症だ」という観念が頭から離れなくなったのでしょう。
簡単に言ってしまえば、自分で決めた役を自分で演じているのです。だとすれば、別の役を演じさせてやればいい。
「コミュニケーションのための催眠誘導」光文社知恵の森文庫刊 P.194~195より
そうなんです、ただ自分で決めた役を自分で演じているだけなんです、要するに「独り相撲」なんですね。
さて、この奥さんの不眠症がその後どうなったのか、あなたも気になっているかも知れませんのでのでもう少し引用してみます。
私はご主人に席をはずしてもらい、奥さんと二人で話をすることにしました。
「奥さんも大変でしょうが、ご主人にも仕事がある。奥さんが隣で眠れないでいると、ご主人も安心して休めないでしょう。私が観るに、あなたよりご主人の方が精神的に参っている。むしろご主人の方が心配です」
「そうなんです。主人に申し訳ないから、なおさら辛(つら)いんです。余計に眠らなくてはと焦ってしまうんです」
「では今夜から、ご主人と一緒にベッドに入って消灯したら、あなたは眠ったふりをしてください。あなたが本当に眠ったのだとご主人を騙(だま)すため、上手に芝居してください」
「お芝居ですか?」
「芝居といっても難しいですよ。ご主人を完全に騙さなくてはならない。眠りに入るときに呼吸がどんなふうに変わるのか、寝返りの頻度とか、ときどき口をむにゃむにゃとやったり、リアルにやらないとご主人も芝居だとわかってしまう。芝居がばれたら逆効果ですからね。本気でやらないといけない」
「なるほど。大変そうですが、それで主人だけでも楽になるなら頑張ってみます。主人が眠ったらそこで芝居をやめていいのですね」
「いやいや、ご主人だって夜中に突然目を覚ますかもしれないし、人間の潜在意識は眠っていても活動しているから、無意識にあなたが起きていることを察知してしまうかもしれない。だから朝までずっと芝居を続けてください。どうせ眠れないのだからいいでしょう」
奥さんも真面目な方で、その夜、必死になって眠る芝居をしたのです。ずいぶん長いこと眠れない夜が続いたので、眠りに入るということがどういうものかを思い出すのにも大変だったという。呼吸はたぶんこんな感じだったろうとか、たまに頭を無造作に掻(か)いたり、歯ぎしりをすればリアルかなとか、いろいろと工夫をしてみたらしい。
ですが、その芝居も十五分と続かないうちに、本物の眠りに入ってしまったのです。
それ以来、毎晩ぐっすりと眠れるようになった。ご主人は催眠療法が効いたといって喜んでいるが、当の奥さんは、眠るふりをしただけで不眠症が治るなんて、今までの苦しみは何だったんだろうと、むしろ当惑していました。
私が不眠症を治したのではなく、奥さん自身が演じる役を変えただけなのです。
「コミュニケーションのための催眠誘導」光文社知恵の森文庫刊 P.195~196より
このエピソードから分かるのは、自分を縛っているのは他ならぬ自分自身だということです。
というわけで、あなたも自分を縛っている鎖を自分の力で外してくださいね。
ちなみに、このエピソードのすぐ後には自分を変えるための超強力なテクニックが書かれているので、、現状を打破して夢を叶えたいという人はすぐに入手するといいでしょう。
本番に弱いという人へ
練習では上手くできるのになぜか本番では上手くいかない、そんな人いますよね。
実はそれ、コンフォートゾーンと密接な関係があるんです。
人はコンフォートゾーンにいる時にはリラックスしていて、そういう状態の時に最高のパフォーマンスを発揮するようになっています。
逆に、コンフォートゾーンから外れると緊張して本来のパフォーマンスを発揮することができないのです。
練習では上手くできるのになぜか本番では上手くいかないという人は、本番の環境がコンフォートゾーンから(大きく)外れているんですよね。
サッカーや野球など対戦型のスポーツでは、それぞれお互いの本拠地で同数の試合を行います。(ホーム&アウェイ方式)
それは本拠地で戦うほうが(コンフォートゾーンなので)有利だからです、一方だけが敵地で戦うのでは不公平が生ずるのでそういう方式になっているんですね。
本番に強くなるためには、本番の環境をコンフォートゾーンにしてしまうことです。
具体的には、本番の環境をイメージしながら練習することですね。
言い換えると、練習から本番のつもりでやれということです。
かつてオリンピックの水泳において、2008年に前人未到の8冠を成し遂げたマイケル・フェルプスという選手がいました。
そんな彼が寝る前にいつもしていたのは、オリンピックのプールで最高のパフォーマンスで勝利するイメージをすることだったそうです。
それによって彼はオリンピックの舞台をコンフォートゾーンにすることができたので、本来のパフォーマンスを発揮することができたんですね。
ここで言うイメージというのは、もちろん実際に体験しているかのようなリアリティのあるものです。
以前にも説明しましたが、脳(無意識)にとっては実際に体験することとリアルにイメージすることに違いはありません。
ということで、本番に弱いという人は本番で最高のパフォーマンスを発揮している自分をイメージしながら練習してみてください。
そのイメージに慣れることができたら、必ずや本番でも上手くいくようになります。
次回記事は以下から。
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