ずっと批判的だった BURRN! が BABYMETAL を採り上げた!
もうだいぶ月日が経ってしまったけど、音楽雑誌「BURRN!」による BABYMETAL ロサンゼルス公演のリポートを読んでみて考えたことを書いておこうと思う。
知ってる人も多いと思うけど、BURRN! は BABYMETAL に対しては否定的で現在に至るまでほとんど採り上げることはなかったんだよね。
なので、良く言えば硬派、悪く言えば保守派、守旧派的な雑誌といったところかな。
まあ、それは洋楽雑誌という体でやってるからというのもあるんだろうね。
ちなみに、BURRN! は(発行しているシンコーミュージックによると)世界最大の実売部数を誇るヘヴィ・メタル/ハード・ロック雑誌なんだとか。
それはそれとして、今回 BURRN! がいったいどういった思惑を持って BABYMETAL を採り上げるのか、 BABYMETAL に対して今現在どんなスタンスなのか、色々と興味もあって読んでみたというわけ。
外国人記者によるリポートは好意的だったが・・・
記事を書いてるのは現地の記者みたいね、byline(署名)を確認しなかったのでここでは断定はしないけど、文体からして外国人が書いたもののはず。(現在ボクの手元に BURRN! はない)
詳しい内容に関してはネタバレにもなるので、ここでは適度にオブラートに包んで書いておくことにする。
最初に言っちゃうと、日本人、特に BABYMETAL のファンは読むと微妙な気持ちになるんじゃないかな。
というのも、日本の記者、というか他の雑誌が触れない、触れようとしないところにまで言及しちゃってるから。
例えば、今回のツアーでの神バンドメンバーの正体とかね。
あとは、当日の観客動員までも正確な数字ではないものの、記者自身が実際に見た印象での具体的な数字を挙げて疑問を呈していたりする。
ただ、記者自身は BABYMETAL とライブ自体には好印象を持ったみたいで、「BABYMETAL はボクというファンを獲得した」みたいなことを言ってた。
だから、全体的に見れば決して否定的な内容ではないのよね。
では、ボク自身はどう感じたのかというと、わりとフェアな文章だということ、ただ読後感としてはスッキリしなかった。
タレントサイドに忖度する日本の雑誌
フェアだというのは、記者が良いと思ったことは良い、おかしいと感じたことはおかしいとちゃんと書かれてるから。
「そんなの当たり前じゃん!」って思った人もいるかもだけど、それが意外と当たり前じゃないのよ、日本の雑誌の場合。
まあ、それは雑誌だけに限ったことじゃなく新聞、テレビなんかもほぼ全てがそう。
いわゆる忖度ってやつね、日本のメディアはこれがひどいんだな。
その点アメリカをはじめ世界のジャーナリズムは容赦ないからね、取材相手に手心を加えるようなことをしてたら仕事を失うことになるから記者も真剣なのよ。
比較の対象として、同じライブを観た「YOUNG GUITAR」の日本人記者が書いた記事を読んでみるといい。
というわけで、ボクが思うには日本の雑誌の記者よりも、BURRN! の記者のほうが世界のスタンダードといったところ。
にもかかわらず、これを読んだ多くの日本のファンはあまり良い印象は抱かなかったと思う。
あ、これはあくまでボクの印象ね、色んな声を拾ってみた上での。
良い印象を抱かなかった人の多くは、日本の雑誌の論調に慣れ切っちゃってるのかも知れないね。
あとは「推し補正」、自分が好きなアーティストに対して少しでも批判的なことを言われると気分が悪いっていう。
神バンドの正体バラシは反則!
ただ、一つ指摘しておきたいのは神バンドの正体について書くのは、ボクもやっぱりやりすぎだと思う。
それは、覆面レスラーの正体を明かしてしまうとか戦隊もののヒーローの中の人について語るのと同じだよね、それは絶対にやっちゃいけないこと。
そこはアーティストサイドと歩調を合わせて触れないのが本来のマナーでしょ、でないと結果的に自分の首を絞めることになるよ。
立場は違えど同じ業界で飯食ってるんだからさ、基本的にエンターテイメントはファンタジーなんであってその世界観を壊すようなマネはしちゃいけないよね。
日本の観客動員数の発表はおかしい
あと、観客動員に言及した点に関しては、ボクはそもそも日本の慣習のほうがおかしいと思ってる。
ライブなどの入場者数は長年「主催者発表」という方法が取られていて、簡単に言っちゃうと「目分量」なのよね。
例えば、東京ドームの収容人員数は運営する(株)東京ドームが55,000人としているので、ソールドアウトの場合55,000人と発表される。
そういう発表の仕方って、野球やサッカーのようなスポーツ界では既にやっていないんだよね。
比較的保守的なプロ野球でさえ実数発表してるからね、2005年シーズンから。
どうして2005年シーズンから変わったのかというと、前年に史上初の選手によるストライキが起きたからだろうね。
まあ、プロ野球の実数発表は「招待券」という名の無料券も含まれていたりするので、いまいち信頼性には欠ける気がするんだけど。
でも、それは実際にその場にいる人の人数ではあるので、アバウトに55,000人とか言っちゃうよりは誠実ではあると思う。
ついでに言うと、同じプロ野球でも日本シリーズに関しては有料入場者数を発表しているので、これが一番正確だろうね。
話を戻して、ソールドアウトしなかった場合はどうしているかというと、ボクが知る限りでは発表してない。
フォーラムのソールドアウトはウソではないが・・・
今回のロスでの公演は、たしかライブの1~2日前に運営からソールドアウトと発表されたんだけど、数字に関しては(日本の)どこの記事にも書かれていなかったね。
会場の「THE FOURUM」の収容人員数は、所有するマディソン・スクエア・ガーデン社によると17,500人ということになっている。
だから、ソールドアウトと聞くと17,500人が集まったと思うのが普通だよね。
でも、BURRN! の記者によるとどうもそうではなかったらしい。
これはどういうことか、それこそがまさに「主催者発表」のなせる業なんだよね。
もしも、まだキャパに余裕があるも関わらずチケットの販売をストップしていたとしたら・・・?
その場合、ソールドアウトという発表自体はウソとは言えないよね、主催者がこれ以上は売りませんって言ってるわけだから。
これは言葉のトリックで、必ずしも「ソールドアウト=満員」ではないってこと。
たしかに論理的にはウソではないんだけど、それを受け入れろと言われたらやっぱり釈然とはしないよね。
つまり、ボクが感じた気持ちの悪さは BURRN! に対してのものではなく、BABYMETAL の運営に対してだってこと。
正直に言って、そういう虚勢を張るようなマネはボクはやめたほうがいいと思ってる。
タレントはイメージで売ってるわけだから、大きな箱を埋められなかったってイメージが付くのはマイナスだと思って隠そうとするんだろうけど、それはバレたときのダメージが大きいのよね。
それに、「ベビメタ、ソールドアウトとか言ってたけど実はスカスカだったらしいじゃん!」とか言われたらファンも嫌な思いするしさ。
だから、そこに関しては「永遠の嘘をついてくれ」とは言えないな。
ちゃんと実数発表してるアーティストもいる
そんなわけで、BABYMETAL もプロ野球のように正確な動員数を発表するように変えたほうがいいというのがボクの意見。
ちなみに、日本でもちゃんと実数発表してるアーティストはいるのよ。
これはももクロのマネージャー川上アキラ氏のツイートで、さいたまスーパーアリーナ(SSA)で行われた「ももいろクリスマス2019(ももクリ)」の二日目のもの。
参考までに言うと、2019年のももクリは一日目の大阪城ホール、2,3日目のSSAともにソールドアウト。
こんなふうにももクロはもうだいぶ前から実数発表してるのよ、ソールドアウトできなかったときでさえも。
印象的だったのは、リーダーの百田夏菜子さんが2016年のドームツアーの最中にそれを語ったこと。
会場を埋めきれなかった自分たちに至らなさを感じてはいたんだろうけど、それをファンの前で正直に言っちゃうところがすごいと思ったのよね。
結論 挑戦者を笑う者はいないから
会場が十分に埋まっていなのにソールドアウトって言っちゃうのと埋められなかったことを正直に言うのと、どっちが好印象かっていったらやっぱり後者でしょ。
実際のところ、正直にカミングアウトしたももクロの人気は落ちてないし、正直に言うことでむしろ好感度は上がったんじゃないかな。
まあ、実際のところそういうカミングアウトをすれば笑う者も出てはくるだろうけど、それは中島みゆきさんの「ファイト!」の中にある「闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう」っていう類いの人間だからね、べつに気にすることはない。
まともなファンであれば、会場を埋められなかったという事実を知ったら、次は推しにそんなつらい思いをさせないようにって思うよね。
なので、結果的にファンとの絆はより深まることになるだろう。
ということで、チーム BABYMETAL も(理想を言えばその他の全てのアーティストも)ももクロに倣って実数発表に切り替えたほうがいいと思うよ。
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