これまでのばってん少女隊に足りなかったもの、本当のサービスとは?

アントニオ猪木が異種格闘技戦をやった本当の理由

アントニオ猪木、若い世代の人も名前くらいは知っているだろう。

猪木さんは、柔道王ウィリエム・ルスカやボクシング世界ヘビー級王者モハメド・アリといった、他競技の選手と闘う異種格闘技戦を行い大人気となり、熱狂的なファンのいるカリスマプロレスラーだった。

では、猪木さんがどうしてそんな異種格闘技戦を行ったのか、ご存知だろうか?

一般的にはプロレスこそ最強の格闘技ということを証明するためとされているが、実は他に切実な理由があったのだ。

猪木さんは元々は日本プロレス(以下「日プロ」)という団体に所属していたのだが、団体の不透明な経営に反発したことで追放されてしまう。

その翌年に新日本プロレス(以下「新日」)を創設、同年にライバルとされたジャイアント馬場さんも日プロから独立、全日本プロレス(以下「全日」)を旗揚げしている。

新日は日プロや全日による妨害や、テレビ中継がなかったことで放映権料収入がなく資金難で、有力な外国人選手を呼ぶことができなかった。

後にNETテレビ(現テレビ朝日)が付いて放映権料が得られるようになり、資金難もある程度は解消されたが外国人招聘での苦戦は続いていた。

人気外国人選手が呼べないと集客でも苦戦するし、見栄えのする試合をすることも難しい。

なので、馬場さんというスターがいる上に多数の人気外国人選手を擁する全日には適わない。

同じプロレスという土俵で勝負したのでは勝てない、そう考えた猪木さんが目を付けたのが他競技の有名選手だった。

知名度のある相手と戦うことで世間の目を引き寄せ、他競技の選手と戦うことで既存のプロレスとは違ったものを見せることで差別化を狙ったのだ。

ちなみに、ルスカ選手は柔道引退後お金に困っていたという背景もあり、猪木戦を受けたとも言われている。

つまり、異種格闘技戦とはそうした背景から生まれた窮余の一策だったという訳だ。

もし、当時の新日が適度に有名外国人選手を呼べる環境だったら、猪木―アリ戦のような伝説の一戦は生まれなかったかも知れない。

ルスカ選手といえば当時の日本人なら知らない人はいなかったのではないか、日本のお家芸である柔道の(しかも一番人気のある重量級の)オリンピック金メダリストだったのだから。

アリ選手は、現在のように団体が乱立する以前のボクシング界で唯一の世界ヘビー級王者であり、強気な言動から世界的人気を誇ったカリスマである。

そんなアリ選手の「誰の挑戦でも受ける」という発言に猪木さんは食いついた、その発言自体は実はパフォーマンスで本気ではなかったようだが。

にもかかわらず、猪木サイドが本気で対戦を迫ったためにやがてアリ選手は逃げられなくなり、二人は実際に戦うことになった。

そんなふうに、他競技の選手と対戦することでプロレスファンだけでなく、それ以外の人たちまでも自分に目を向けさせ人気を獲得していったのだ。

まあ、試合に関しては「世紀の大凡戦」と言われ大バッシングを受けたのだけれど。

その上、アリサイドが対戦から逃げるためにファイトマネーを釣り上げたことで、新日は莫大な借金(現在の貨幣価値で50億円以上とも言われる)を抱え倒産寸前にまで追い込まれることになった。

それでもアリ戦がきっかけで観客動員も増え、テレビの視聴率も上がったことで放映権料も上がり借金は数年で完済したらしい。

さて、ここまで一見何の関係もなさそうなプロレスの話を長々と書いてきたが、それは上記のエピソードが非常に参考になると思ったからだ。

どういうことか、以下に説明していこう。

スタプラは新日本プロレスだ!?

当時の新日本プロレス、猪木さんの置かれた状況と、現在のスタプラ、ばってん少女隊のそれとはよく似ていると思う。

今人気のグループの中には、結成当初から大手広告代理店がバックにつきテレビの冠番組があるようなところもある、つまり初めから潤沢な予算があるのだ。

それに対して、スタプラはももいろクローバ―Z結成の頃からそうだが資金面では恵まれていない。

それは、例えて言うなら他の人気グループが全日で、スタプラが新日といったところだ。(全日は旗揚げ当初から日本テレビが付いていた)

なので、スタプラは新日的な戦略をとる必要があると言えるだろう。

実際、ももクロの歩んできた道は新日、猪木さんとダブるところが多いように見える。

古参のモノノフさんなら知っている人も多いと思うが、マネージャーの川上アキラ氏はメンバーに対して「猪木と馬場では育て方は違うんだ!(お前らは猪木だ!)」と言っていた。

馬場さんはプロ野球ジャイアンツの選手だったので初めから知名度もあった、それに対して猪木さんは過去の実績はなく全くの無名。

ももクロメンバーもオーディションのグランプリ受賞とかいった実績はなく無名、だから育成も猪木式という訳だ。

猪木さんが異種格闘技戦をやったように、ももクロも氣志團のようなロックバンドと対バンをしたり、プロレスやK-1のリングに上がるなど異業種の世界に出て行った。

そんなももクロの後輩であり新日的なスタプラに所属するばってん少女隊は、やはり猪木さん路線で行くべきだろう。

とはいえそれは「100年に一組の逸材」とか表面的な真似をすることではない、あれは戦略というより単に当時のマネージャーの趣味の延長だろう。

ももクロがやってきたように、ロックバンドやアーティストと分類されるような人と対バンすることだ。

モノノフの中にはロックファンが多いと言われるが、それは対バン等で(アイドルファンの)外から引っ張ってきたからだ。

ばってん少女隊は楽曲提供の繋がりから、KEYTALKやフレデリック、水曜日のカンパネラあたりと対バンしたらどうか?

また、LuckyFesやRock in Japan Festival(ロッキン)、Summer Sonic(サマソニ)といった(アイドルフェスではない)音楽フェスに積極的に売り込むべきだろう。

ばってん少女隊の楽曲は、そっち方面のファンに刺さるポテンシャルがある。

というか、むしろ既存のアイドルファン向きではないとさえ思える、本来の需要はおそらくその外側にあるだろう。

具体的に言うとロックファン、ダンスミュージックファン、あとは“和”要素から海外向きでもあるだろう。

ここまでにブレイクできなかったのは、そうした層にアプローチしてこなかった(できていなかった)からだと思っている。

長くばってん少女隊を見てきて気がかりなのは、運営がその音楽的価値を理解していないのではないかということ。

それは、例えて言うなら手に入れた釣り道具やエサがどんな魚を釣るためのものか分かってないといった感じ。

そのため、結果的に獲物のいないところに糸を垂れているので釣れない、そんなイメージである。

ばってん少女隊がアプローチすべきは既存のアイドルファンではなく音楽好きな層、ボクはそう確信している。

ばってん少女隊は楽曲のクオリティーも極めて高い上に、、「九州(和)+EDM+アイドル」という他にないコンセプトを持った稀有な存在である、運営はそこをよく理解して自信を持ってプロモートしてほしい。

今のばってん少女隊は本当に九州コンセプトのグループと言えるか?

ばってん少女隊のオフィシャルサイトによると、「九州の魅力を全国に届け、九州と日本全国を“つなぐ”活動をしていきます。」とある。

Profile / プロフィール | ばってん少女隊 オフィシャルサイト
スターダストプロモーションの女性アイドルセクション「STAR PLANET」所属の8人組グループ。 九州の魅力を全国に届け、九州と日本全国を“つなぐ”活動をしていきます。

そう謳いながらここ最近の楽曲には九州要素がほぼない、「メロきゅんほりっく」に取って付けたような(必然性があるとは思えないような)博多弁がちょこっと出てくるくらいである。

歌詞に方言を入れるならガッツリ全体に入れるべきだ、やしきたかじんさんの「大阪恋物語」みたいに。(動画は公式のあるコブクロのもの)

あと、今どきの若者が使う自然な方言にすべきだろう。

「おっしょい!」内の方言は、比較的高年齢層が使うものでデフォルメしすぎな感じがする。

一応断っておくと、「おっしょい!」自体が悪いと言っている訳ではない、そもそもボク自身がばってん少女隊にハマったのは「おっしょい!」だし。

「おっしょい!」的な方言の使い方は、日常ではそれを使っていないので“ウソ”になってしまう。

そうなると、地元の人が聴いた際に違和感があるからよくないと言っているのである。

「メロきゅんほりっく」のそれは、「ちょっと方言でも入れたら九州感出るでしょ?」的なわざとらしさが出ていてマイナス。

ちなみに、上田理子さんによると「ばり好いとうよ」は今どきの若者は言わないそうで、そういう点からも「メロきゅんほりっく」はダメである。

何が言いたいかというと、楽曲、衣装、世界観が上記のコンセプトと合致していないのだ。

ここは早急にアルバム「九祭」や「九伝」の路線に戻すべきだろう、でないと一番大切な独創性がなくなってしまう。

独創性がなくなると、他の多くの“かわいい”と横並びでの勝負になってしまう、それでは選ばれるかどうかはもう運次第である。

そんなギャンブルは避けるべきだ、運営はタレントの人生を運なんかに任せてはいけない。

ということでまとめ、ばってん少女隊(運営)はまず「九州の魅力を全国に届け、九州と日本全国を“つなぐ”活動をしていきます。」という原点に戻ること。

そして置かれた現状(旗揚げ当初の新日的状況)を理解して、アイドルファンの外側にアプローチすること。

上記2点による徹底的な差別化によって、潜在的なファンが見つけやすい存在になることだ、それが本当のサービスというものだろう。

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